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「情報学」とは?
情報系学科をどのようにして選ぶべきか?-
  1. 「情報学」とは?

      情報学は,右図に示すように,非常に広い分野を包含した学問体系です.従って,文系,理系といった分類は不可能であり,また,文理融合といった言葉さえ,余りにも当たり前すぎて使用することに躊躇します.しかしながら,文系の情報,理系の情報といった言葉や実際の学科・学部が存在し,また,高校生時代には,文系,理系といった形でクラス分けされている状態を考えると,情報学の特徴,特に,文理融合についてある程度説明せざるを得ないかもしれません.

      そこで,ここでは,文理融合の簡単な例について説明してみます.日本語や英語などの自然言語は,我々の社会において非常に重要な役割を果たしており,多くの分野で研究・教育が行われています.例えば,言語学は言語の本質や構造を明らかにしようとする学問分野であり,また,心理学分野における発達心理学や学習心理学では,因果関係などの認知の発達とともに言語の習得過程について研究しています.明らかに,これらの分野は文系であり,互いに強い関係があります.

      しかしながら,文系の範囲だけに止まっていれば,個人の直観や内省に基づいた観察に限定されがちです.より広範囲のデータを収集し,客観的な分析をするためには,例えば,大量のデータをコンピュータに保存,検索できるシステム(データベース)が,言語学の研究にとって重要です.実際,英国米国をはじめ多くの国が自国の言語データベース(コーパス)を作成公開し,近年の辞書はこれらのコーパスを基に作成されています.しかしながら,自分の目的に沿った独自のシステムを作成しようとすれば,コンピュータ,データベース,プログラミングなどに対する知識が必要になります.また,言語学から得られた知見に基づき,Web 上で英語に対する自学自習システム( e-Learning システム)を作成しようとすれば,Web に関連する様々な知識(コンピュータ,プログラミング,データベース,3DCG,・・・)を必要とします.作成した知識を評価するためには,心理学に関する知識も重要となります.

      さらに,Web 上の翻訳サイトなどコンピュータによる自動翻訳(機械翻訳)や,言語の学習や発達に対するコンピュータモデルの作成などに興味があれば,認知科学,人工知能(これらは,本来,文系と理系の境界領域に存在する分野である)に対する知識と共に,コンピュータ関連の知識が必要になってきます.以上述べた関係を図示すると以下のようになります.勿論,これらすべての知識を完全に学ぶ必要はありませんが,学ぶことができる環境が提供されていることが重要です.コーパスや電子辞書や学習システムの作成には言語の専門家と情報技術の専門家がチームを組むことが多いのですが,1 人の人間が文系の範囲だけでなく,理系の分野について学ぶことによって,将来の進路に対する選択範囲が広がり,例えば,Web 関連企業,データベース関連企業,応用ソフトウェア開発関連企業なども可能な就職先となってきます.

      文理融合は,理系の人間にとっても重要です.現在,工作機械,自動車,家電など,ほとんどの機械にはコンピュータが組み込まれ,複雑な処理を行うことができます.一般的なロボットの外観とは異なりますが,これらもロボットの一種と見てよいかもしれません.そのような意味で,ロボット工学は,工学における非常に重要な分野です.しかし,その範囲を工学に限定するとすれば,機械工学,電子工学,電気工学などが担う部分が多く,ロボットに組み込むソフトウェア部分を情報分野の人間が担当することになります.

      しかし,ロボットには多くの夢があります.例えば,豆腐を箸でつかむことができるようなロボット,故障した場合に自分で自動的に修復できるロボット,人間が考えただけでその通りに動作してくれるロボット( BMI: Brain Machine Interface )など,このようなロボットを実現するためには,生物学関連の知識を必要とします(理工融合といってよいかもしれません).

      さらに,日本語などの自然言語を使って命令できるようなロボットを実現するためには,言語学,心理学など,文系分野の協力が必要です.また,先に述べた豆腐を箸でつかむことができるようなロボットの実現に対しても,心理学分野の知識が重要になります.

      以上述べたことを一つの図にまとめると以下のようになります.このほんの少しの例の場合でさえ,各分野が複雑に関連し合っていることが分かるかと思います.また,だからこそ,文理を融合した研究・教育,つまり,情報学に関する総合的な研究・教育が必要になってくることになります.そして,その中で学ぶことによって,将来の進路に対する選択肢は大きく広がっていきます.

      他の例として,例えば,インターネットについて考えてみます.インターネットのようなコンピュータネットワークの重要性は今後ますます高まっていくものと思われます.そのインターネットを支えるハードウェア,ソフトウェアに関する知識はまさに理系の知識です.しかしながら,本当にそれだけで十分でしょうか.特定の個人,団体を誹謗中傷する書き込みの集中,いわゆる「ブログ炎上」ほどではないにしても,「学校裏サイト」をはじめとするインターネット上の掲示板,ブログなどにおける暴言,侮辱,差別などの悪質な書き込みは後を絶ちません.これらの問題に対する有効な対策が取れないようであれば,場合によっては,インターネットの存在自体が否定されかねません.

      これらの問題を完全に解決することは不可能でしょうが,特定のキーワードを含むデータを削除する,特定の個人からの投稿を拒否するなど,ハードウェアやソフトウェアの工夫によってある程度の効果ある対策は可能です.また,インターネットなどを通して,社会規範に対する意識の変化を訴えることも重要かもしれません.しかし,これらのことを実行するためには,単にコンピュータ分野に対する知識だけでは不十分です.例えば,インターネットを使用している個人はどのような心理状態になりやすいのか(心理学),文字によるコミュニケーションは他の媒体に比べて相手にどのような印象を与えやすいのか(言語学),通信の自由・表現の自由と人権侵害の防止はどのようにすれば両立できるのか(法律学),個人情報などの扱いではどのようにすれば企業経営上のリスクを避けられるのか(経営学),インターネットをめぐる人々の規範意識と逸脱行動はどのような関係になっているのか(社会学)などの問題に関する知識も必要になってきます(下図参照).そのためには,各分野の専門家又はそれに近い教員が近くにおり,これらの知識について学べることが教育・研究にとって重要です.

  2. 情報系学科をどのようにして選ぶべきか?

      情報系の学部や学科は非常に多く存在します(詳細は,「情報系学部・学科」参照).先に述べたように,情報学の範囲が非常に広いため,「情報」や「コンピュータ」などの名前を含んだ学部・学科であっても,その教育内容は大学によってかなり異なります.従って,自分のやりたいことに基づいて学部や学科を選択することは大変な作業になります.いい加減に行えば,大学へ入ってから,「こんなはずではなかった」,「コンピュータなど二度と触りたくない」,「他の学科に代わりたい」などといった状況に陥りかねません.

      自分の学びたい分野が明確に定まっていれば,その分野の教育が充実している学部・学科を選べば良いことになりますが,高校時代に,ある分野の研究・教育内容を明確に把握することは困難だと思います.そのため,大学に入ってから,「自分が思っていた内容と異なる」といった気持ちになることも多いかと思います.そこで考えられる一つの方法は,できるだけ情報学の広い分野について学べる学部・学科を選択することです.自分の学びたい分野が決まっていたとしても,その周辺の分野についてもある程度学べることが重要です.いずれにしろ,大学だけでは,各分野についてそれほど深く学ぶことはできません.自分の興味を持った分野に関しては,大学院に進学してから学ぶと行った姿勢も重要だと思います.必ずしも学部と同じ大学の大学院である必要はありません.この時点では,自分の学びたい分野の内容をかなり理解しているはずですから,その分野の研究・教育が充実している大学院を選択すべきです.

      一度,「情報系学部・学科」によって,各学部・学科の教育内容を見て下さい.本学の「総合情報学部」は,情報学のできるだけ広い分野について学べる教育体系を採用しています.コンピュータソフトに関する分野に関してはある程度深く学ぶことができますが,他の分野に関しては広く浅く学ぶことになります.コンピュータハードに関する科目はほとんどありませんが,本学「理工学部」の「電気電子工学科」の科目を履修することによってある程度可能です.静岡理工科大学「総合情報学部」の詳細については,「総合情報学部 (by 菅沼)」,または,「総合情報学部 (公式サイト)」を参照して下さい.

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